広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    中国運輸局長に就任 / 金子 修久 氏
    NEWSな人
    西日本初のEチャンバー運営 県内企業のEV対応後押し / 広島テクノプラザ 菊間 秀樹 社長
    5月に社長就任 地域の魅力高める / 本四バス開発 浦丸 伸一郎 社長
ニュース一覧
+ 続きを読む +

グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
焼鳥高瀬 / 高瀬 大祐 店主

中区の並木通りに面する「いいかげんや」店長など、焼き鳥で20年近い経験を持つ店主が独立。8月1日にオープンした。
「以前の店は気軽に利用できる雰囲気でしたが、より味にこだわるために事前予約制、料理は5500円のコースのみとしています。7本程度の串のほか季節の野菜、鶏のだしで作る雑炊などを提供。地鶏は名古屋コーチンと鹿児島の黒さつま鶏です。例えば一般的にモモと呼ばれる部位でも、当店では5種に細分化。希少部位も扱っており、味の違いを感じてもらいたい。串は追加の注文も承ります」
 ドリンクは鶏との相性で厳選したワインやウイスキーなどをそろえ、特に秋田の日本酒「新政」は希少な銘柄という。炭は最高級とされる和歌山の紀州備長炭を主に使用。カウンター10席からは焼き場が見え、目や香りでも楽しめる。
「上質で落ち着いた空間がコンセプトで、接待にもぴったり。満席となることも多く、早めの予約がお勧めです」

    INFORMATION
  • ◆住所:中区薬研堀2-7 セントラルゲート6 ブロック5号
  • ◆電話:082-909-9830
  • ◆営業時間:午後6〜11時
  • ◆定休日:不定休
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
スマイル中山 / 田坂 基 理事長

精神的な病気や障害を抱える人向けのフリースペースを運営するNPO法人です。日中の活動や交流の場として、約30人が利用しています。
 サンフレッチェの年間パスを持っており、ホーム戦は全てモリタカ(南区)常務の義父と観戦。新スタジアムの自席はスタンド2層目で、高い位置からピッチ全体を見渡せます。アグレッシブで得点力の高い今年のサンフレは、サッカーに詳しくない人にとっても面白い。加えて新スタの優れた立地、選手との距離の近さ、試合前後の演出、充実したキッズスペースやベビーカー置き場など、誰もが楽しめる場所になっているので、ぜひ訪れてもらいたいですね。
 一番の注目は満田誠選手です。攻守両面でのハードワークに加え、感情を表に出すところが魅力。入団した2022年の京都戦での得点も忘れられません。相手のチョウ監督とは大学時代の師弟関係にあり、満田選手はサンフレユースからトップチーム昇格を逃し失意の進学、監督は不祥事でJリーグでの指導資格停止と、それぞれ苦しみを味わった身。2人がJの舞台で相まみえ、目の前でゴールを決めた瞬間には、それまでの物語も含め心が震えました。
 サンフレの特徴は、けが人が出ても誰かがポジションを埋められる全体的な戦術理解度の高さだと思います。アジアチャンピオンズリーグ2にも出場し過密日程になる終盤戦こそ、その強みが生かせるはず。全選手が一丸となってJ1優勝へ突き進んでほしい。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
医療とまちづくり

人はどうすれば笑顔になれるだろうか。中区竹屋町の診療所「ほーむけあクリニック」院長の横林賢一さん(46)は医療と街づくりという一見、かけ離れた命題を通して笑顔の根っこに何があるのか、考え続けてきた。
 誰でも病になって病院を訪れるが、同クリニックは診療のない9月7日の午後、小学1、2年生を対象に〝おしごと体験〟イベントを開いた。コロナ前までは年1回、近隣の小学生に問診やエコー、レントゲンなどの体験、クリニック見学を行っていた。今回は近隣のかとう歯科医院、すずらん薬局と組み、医療に携わるそれぞれの仕事を体験してもらった。横林さんは、
「子どもたちが楽しみながら社会の仕組みを学び、大切な在りかを発見できる。それが将来の仕事の選択肢の一つになり、事業所にとっては存在を知ってもらう機会になる。
おしごと体験は医療分野にとどまることなく、街のさまざまな事業所に声をかけ、仕事の体験を通じて子どもと大人がつながり、笑顔のあふれる温かい街を願っている」
 広島大医学部の学生の頃、映画やTVドラマになった赤ひげ先生、ドクターコトーのような町医者に憧れていた。卒業後、研修先の福岡の病院で米家庭医の講演を聴く。理想に描いていた医師の姿があった。地域住民の健康に寄り添う総合診療医への道を進む決心がついた。
 沖縄・西表島の診療所や米オレゴン健康科学大の研修を経て、日本で最初の家庭医療専門医になるが現場を経験する中、学びを深めたいと在宅医療のフェローとして訓練も受ける。2010年に広島に戻り、広大病院家庭医療専門医養成プログラムを立ち上げた後、米ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)へ留学。そこでソーシャルキャピタルや行動経済学を学び、どうすれば人は笑顔になれるかと自分自身に問うようになった。
「病と向き合って生活している人を診る。人は人とのつながりがあって初めて笑顔が生まれる。診療しているとSDH(健康の社会的決定要因)の大切さを実感させられる。病は、患者だけのせいではない。健康づくりを妨げているのは何か。例えば、貧困や低学歴など社会格差による不健康、病を解消することはできないか、そうした目的を定めHSPHへ向かった」
 1年間学んで持論を確証。ためらいなくアクセルを踏む自信ができたという。
 17年、夢だったカフェ併設の有床診療所として現在のクリニック開設にこぎ着けた。病気の有無に関わらず無料で相談できるまちの保健室、こども食堂、認知症カフェ、離乳食教室など、誰もが気軽に集える場を目指す。
 笑顔を生む街づくりへ、カフェのイベントを企画運営し地域とのつながりを〝処方〟するリンクワーカー、塚本真理子さんの存在を欠かすことはできない。家庭医は、生まれて死ぬまでのライフサイクルに照らしながら想定される〝つまずき〟ポイントも念頭に置く。団塊世代全てが後期高齢者になる25年問題が目前。住み慣れた地域で最期まで生活できるよう、リンクワーカーの出番はますます増えてきそうだ。
「医師に相談できないと思っていることが、実は不調の原因だったりすることもあるのです。一人一人の困り事に誠実に対応し、心がほっこりと笑う、そうして笑顔が連鎖する街にしたい」
 新しい光が差してきた。

一覧に戻る | HOME